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チベット


世界の屋根「ヒマラヤ山脈」を南に控え、桃源郷と言われてきた仏教の聖地チベットは、スピリチュアリストにとっても大変なじみ深い国です。なぜなら、多くのチベットのお坊さん達のスピリットが世界中で指導霊として活躍しているからです。何世紀もの間、仏教にだけ専念し、世界中から孤立していたチベットは、1950年代に共産党の指揮する中国に侵略されてしまい、現在ダライラマはインドのダラムサラに亡命中です。したがって、現在チベットは、中国の一自治区となっていますが、政治と経済を除くと、文化的、宗教的、民族的にも、中国とは異なる国といえるでしょう。

一説によると、この中国によるチベットの侵略は中世のチベットの聖人パドマサンバヴァよって予言されていたそうで、アメリカが白人によって占領されることを予言していたアメリカインディアンの予言を連想させます。神は閉鎖的な光を嫌い、前進と発展を望むということを如実に表しているのかもしれません。不幸中の幸いとでも言いましょうか、現在チベット仏教は亡命して世界中に散らばって行った10万人を超すチベット人によって広がっていて、チベット仏教を通して仏教に興味を持つ人たちが世界中で増えています。

現在、首都ラサへの鉄道は建設中で、北京オリンピックの年までには完成予定。陸路は困難ですが、最近は空路が開けていて成都、北京、広州、ウルムチからチベットに入れます。つい最近まで、政治的な理由からチベット行きのビザを取るのが困難でしたが、最近は比較的簡単になって来ています。でも、早めに準備した方がいいでしょう。

四川省九寨河

また、チベット旅行で一番気をつけなければいけないのが、高山病。ラサ市の標高が約3500mで、いきなり飛行機で行ってラサのホテルに着いて、滞在期間中、ホテルで寝ていただけという話をよく聞きます。高山病の症状は、食欲不振、吐き気、頭痛、呼吸困難、極度の疲労感などで、最悪の場合は死に至るとのこと。でも、苦しくなったら早めに病院に行って点滴をすれば、比較的早く回復するとも聞きます。町の至る所で携帯用の酸素ボンベ(30元前後)が売られています。必要な人は買入して持ち運ぶといいでしょう。

四川省黄龍

一番お勧めの対策は、九賽河や黄龍など、チベットのお隣の四川省成都の近くの高地でいったん体を順応させてから、チベットに飛ぶことです。また、ヒーリングが高山病によく効くので、よいヒーラーと一緒にチベットに行くといいでしょう。

ジョカン寺

聖なる都市ラサは、昔「ルオソ」と呼ばれていたことがありましたが、これは「聖地」という意味。このラサの中で、最も神聖な寺院として崇められているのがジョカン(大照寺)で、2000年にユネスコによって世界遺産として登録されています。このお寺は旧市街地の中にあり、647年にソンツェンガンポ王によって湖を埋め立てて建設された当時、白い山羊に土を運ばせたので、昔は、「レサ」と呼ばれていましたが、後世に、一時「ルオソ」と呼ばれた後、仏教寺院という意味のジョカンという名前に変わりました。何世紀の間に増築が行われ、現在は唐時代とネパールとインドの様式をとどめています。現在でも「ラサ」と言えばジョカンのことをさす時もあります。

五体倒置(ジョカン寺正門前)

この聖なるお寺には、チベットの各地から、長い時間をかけて五体倒置をしながら巡礼してくる人が大勢いて、入り口付近には、入る前に1万回の五体倒置をする人たちで、朝早くからごった返しています。お寺の周りは八廊街と呼ばれ、回廊のようになっていて、巡礼者が時計回りに手に持ったマ二車を回しながら歩いているのが見られます。正門の前には、煙突付きの二つの大きな焼却炉のようなものがあり、巡礼者達が香を投げ込んで行くので、常時、大量の煙が舞上っています。そして入り口の上には、黄金の2頭の鹿に挟まれた法輪が巡礼者を迎えてくれます。

寺院は、ジョカン本殿と外側を取り囲むトゥルナン寺に大別され、入場できるのは午前11時まで。本殿中央には、ご本尊のアヴァロキテシュヴァラ(十一面千手千限観音)が、向かって左側にパドマナテシュヴァラ、右にジャンパを控えながら座っています。この寺院で、最も人気があるのが、昔、ソンツォンガンポ王のもとに嫁いできた唐の王妃ウェンチェンがもたらしたという12歳のお釈迦様の像で、この像はお釈迦様本人によって開眼されたと言われていますが、一階の本殿の裏手にあり、長い行列ができていて、側面の2か所で、像の脇の裾に額をつけて拝むことが許されていますが、一人に与えられている時間は、それぞれの場所で1秒くらい。額を像の裾に付けたとたんにそばに立っている係のお坊さんに首根っこをつかまれて引き離されます。やはり、ここのエネルギーは格別です。ただ非常に込み合っているのが残念で、一人のんびり瞑想なんてとても無理な話です。

ジョカン寺の朝

その他、仏足とか地下の湖の聞こえる灯籠とか、ソンツェンガンポ王、ウェンツェン王妃や、8世紀にリンポチェによって開かれたニンマ派(紅帽派)に代わって14世紀後半に台頭してきたゲルク派(黄帽派)の開祖で、文殊菩薩の化身とされるツォンカパの像や、諸派の開祖の像などがあります。金色の屋上から眺めるポタラ宮やラサ市の眺めも、旅人の魂を癒してくれることでしょう。

ポタラ宮殿

一方、1994年にユネスコによって世界遺産として登録されたポタラ宮殿は、チベット最大の寺院で、ラサ市のランドマークでもあり、観音様が住むというポタラ山にちなんでつけられたと言われていて、大別すると白宮と赤宮に分けられます。建設は7世紀に始まっていますが、本格的なものは首都がラサに遷都された17世紀中頃で、白宮が初めに、そしてその後に赤宮が建てられ、その後改築や増築が続けられて現在に至っています。白宮はダライ・ラマの住まいと司政の中心、そして赤宮では、祭り事が行われてきました。ダライラマが亡命して以来、ポタラ宮の一部が一般公開されるようになりました。

ダライ・ラマは、観音菩薩の生まれ代わり、ダライ・ラマの先生のパンチェン・ラマは阿弥陀仏の生まれかわりと言われていますが、ダライ・ラマは、現在主流を占めている黄帽派(ゲルグ派)の法王にあたります。ダライ・ラマが登場する背景には、チベットの複雑な歴史がありますが、この近辺は仏教が入ってくる前、自然信仰(シャーマニズム)の色濃いいわゆるボン教が普及していました。それを土台として、インドから仏教、ヒンズー教、タントラ(密教)が入ってきて、チベット仏教を形成したと信じられています。昔のボン教の祭司は、呪術、悪魔払い、また様々な奇跡を起こしたそうで、トランスダンス、空中浮揚、霊媒、その他数々の神話が今なお語り継がれています。ひょっとしたら、ここにスピリチュアリズムとチベット仏教の接点があるのかもしれません。チベット仏教の特徴は、なんといってもダライ・ラマとパンチェン・ラマを転生活仏としていることでしょう。

白宮の最上階には、かつてダライ・ラマがパンチェン・ラマと一緒に瞑想した部屋などのダライ・ラマの居住区があり、歴代のダライラマの肖像画や彫像もあります。白宮最大の部屋「東大殿」は、昔、ダライラマの謁見や諸々の宗教行事が行われていたところです。

赤宮の一番の見どころは、何と言っても、ポタラ宮で最も神聖な場所と言われている第4層のパクパ・ラカンにある、ポタラ宮のご本尊ともいえる観音様(アヴァロキテシュヴァラ)の像で、七世紀にセイロンからもたらされましたが、白檀の木から人の手を借りずに、完成された形で現れた神聖な彫刻と言われています。それほど大きな像ではなく両側にも像がありますが、体全体を華やかな衣装で包まれていて、この場所も非常に込み合っているので長居できませんが、聖なるエネルギーを感じる素晴らしい場所です。

セラ寺

この他、歴代ダライ・ラマの霊塔や、沢山のマンダラの絵やいくつかの立体マンダラがありますが、カーラ・チャクラの立体マンダラ、パドマサンバヴァ、ツォンカパ、弥勒菩薩、阿弥陀菩薩、お釈迦様、そしてもう一つの銀の観音様の像は見逃せない。これらの像に手を合わせて拝んでいると、胸が熱くなって来ます。また、チベットでけっこう人気があるのが、観音様の涙から生まれたというタラ神。もともと5つの色に別れた5つのタラ神がいますが、緑や白のタラ神に特に人気があり、とくに白ダラの絵や彫像によく出会います。

デプン寺

ラサの周辺には、まだたくさんの寺院がありますが、セラ寺は、ツォンカパの弟子が、1419年に建て、かつては大規模な寺院だったそうですが、ここには顕教、密教などを学ぶ三つの学堂があり、明治時代には日本人のお坊さんも来てここで学んでいます。また、少し郊外にあるデプン寺は、やはり15世紀に建てられ、昔は1万人を超える僧侶が生活していた世界最大のお寺でしたが、現在はやく600人位のお坊さんが暮らしています。最も神聖とされる建物はチャンパ・トゥンドゥル・ラカンで、ここにはチャンパ仏が祭られていて、この他、弥勒菩薩の像が屋上にありますが、この像の左の頬にサンスクリット文字が見える人は徳が高い人だそうで、幸せになるそうです。

チベットは、酸素が薄い聖地ですが、やはり、天国に近いところという印象がすごく強いところです。夏は雨期なので避けた方がいいでしょう。9月半ばからカラッと晴れ上がる天気が続きますが、それでも朝晩かなり冷え込むので、冬の支度して行くこと。

チベット語で「こんにちわ」は「タシデレ」と言いますが、もちろん、北京語が標準語となっています。買い物をする時、値段がない時は、5倍から10倍の値段を吹っかけられていると思いましょう。四川省の成都では一枚12元で売られているCDも、チベットでは60元で売り付けられます。観光地では値切るのが当たり前であることを忘れないように。

チベットの民族舞踊

最後に、地元のガイドさんの話によると、チベット人は、来世のことばかり気にしているから、中国人に征服されてしまったし、現在も政治と経済を漢民族に牛耳られているそうですが、彼等は、自分達が貧乏であることあまり気にしていないそうです。それを象徴するかのように、空港へ向かうバスの中でガイドさんの後ろに、彼のおばあさんの霊が現れ、私達に送迎の踊りを見せてくれました。チベット人の踊りは、衣装は華やかなものをまとい、貧乏を吹き飛ばしてくれそうなほど元気がよいですので、機会がある人はぜひ観覧して下さい。(B)