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バリ島


バリ島は、映画「バリハイ」などで、近年、急速に「地上最後の楽園」として一躍有名になってきた。回教徒が大多数を占めるインドネシアの中で、バリ島だけが今日でもヒンズー教を守っている。バリ島のヒンズー教を本場インドのヒンズー教と区別して、バリ・ヒンズーと呼ぶ。バリとは、サンスクリット語で、生贄とか貢ぎ物という意味。この島全体が、神への貢ぎ物なのだ。ここでは、文化や生活の全ての営みが神に捧げられ、またそれは、神々を喜ばせたり神々との交信の手段でもあり、神との合体の手段でもある。

村人の家の祠の数々


この島に来てまず気がつくことは、犬が多いことである。殺生が禁じられているからであろう。そして、最も印象的なものの一つが、音のしない雷、つまり稲妻である。月夜の晩に、螢を眺めていると、突然、稲妻が走る。しかし、そこには、落雷特有のあの雷の音がないのだ。聖なる時間は、闇とともにおごそかに深まっていき、訪れる人を、神秘の世界へと導いていく。
またここは、台風が来ない場所である。そのせいで、ヤシの木等が、気が遠くなる程まっすぐ、しかも高く聳え立っている。それは見事だ。また、米は年に4回収穫出来るという。島のあちこちで、年がら年中、収穫や豊穣を祝う祭りや様々な宗教行事が行われている。ここを訪れた西洋人が、地上最後の楽園という「いわれ」が、分かるような気がする。
この島は、また、一時ヒッピーのあいだでも人気が出た。彼らは、この島で育つ「マジックマッシュルーム」食べて、サイケデリックな世界へとトリップして、そこに夢を託した。もちろん、私達、スピリチュアリストは、ここではその理由について言及しないが、このような麻薬の使用に反対する。

タンロット寺院

それまでアニミズム信仰であったバリ島にヒンズー教が入ってきたのが、10世紀前後のこと。16世紀になると、インドネシア一帯でイスラムの影響が強くなり、多数のヒンズー教の僧侶や芸術家達が、バリ島に亡命。その彼らによって、バリ・ヒンズーやヒンズー文化芸術が発展を遂げることになる。そして、さらに大乗仏教の影響を受けて、バリ・ヒンズーは、今日に至る。
バリ島では、バリ島中央に聳えるアグン山は、沢山の神々が宿る聖なる山で、ここが世界の中心とみなされている。南の方は、リゾート開発が進み、サーファーのパラダイスになっているが、やはり、島全体を聖地とみなすべきであろう。

割れ門チャンディ・ブンタル

この島には2万以上の寺があるというから、寺だらけの島である。寺の入り口には、チャンディ・ブンタルという割れ門があり、そこで人は心を開いて(割って)入ることになっている。バリ・ヒンズーの本山であるブサキ寺院など、重要な寺院に参拝する時は、サロン等、正装をしなければ、入れてはもらえないのは、当たり前の事であろう。


ブサキ寺院入口付近


ブサキ寺院

ブサキ寺院は、バリ島最大かつ最古の寺院で、背後の聖山グヌン・アグンに抱かれているように佇んでいて、みごとな黒い玄武岩で出来た「母なる寺」である。アグン山は、よく、深い霧に包まれていて、晴れるのは早朝ぐらい。霧に包まれたブサキ寺院は、それなりに神秘的だ。そこには毎日大勢の信者達が押し掛けて来て、常に石畳の参道から上の本殿までどこも賑わっている。ブサキ寺院は、ブラフマ、ヴィシュヌ、シヴァ神の三位一体を祀る複合寺院であり、三つの主な寺院を中心に、現在30余りの大小様々な寺院を従えている。寺院内は、ヒンズー教徒以外立ち入り禁止のところが多いが、それでも、聖なる波動を満喫するには十分である。いろいろな信者が集まって、いろいろな行事を行っているところが見受けられるし、下の方では、食事会を行っていて、よく観光客に食べ物を勧めてくれる。アグン山に最も近いところにハスの祠があり、又、その上の方には、最高位の聖所「プラ・パナタラン・アグン・ブサキ」がある。

バロン・ダンス

この他、バリ島ならではのシーンといえば、ウブドを中心とした芸術村、あちこちで見られる村人達のもく浴シーン、そして、村のあちこちでしょっちゅう開かれている村祭りである。夜は街灯がない村が多いので、道は暗く、明かりを照らしてみると、鋪装道の上では、夜野良犬が気持ちよさそうに寝そべっている。バリ島は、本当に神に祝福された島であり、島民は神を恐れそして崇め、今も昔も島民と神との交歓の時が流れている地上最後の楽園というそのタイトルに相応しい聖地の一つである。確かにここではいやおうなしに神々が身近に感じられるし、神に感謝したくなるし、神を愛したくなる場所である。