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ギータ-の教え

 
1章
2章
 

バガヴァッド.ギーター
(シャンカラチャリアの解釈による)

 バガヴァッド.ギーターは、『神聖な歌集』という意味。これらの歌は、マハーバーラタという古代インド文学の頂点とも言われる物語の一章を担っていて、この章は主に神クリシュナ(ヴィシュヌ神の生まれ変わり)と親友の戦士アルジュナとの対話の形式で構成されています。ヒンズ-教の心臓部のひとつと言っても過言ではないこの教典には、沢山の霊的またはスピリチュアルな教えが随所に含まれていて、スピリチュアリストにとっては、大変興味深いものです。

参考資料:「バガヴァッド.ギータ 副題:シュリ.サンカラチャリヤの解説付き」
アッラディ.マハデヴァ.シャストリ著,
「そのままのバガヴァッド.ギータ」スワミ.プラブパーダ著
■ 1 章 ■

1 サンジャヤが言いました。「このようにアルジュナが目に涙を一杯溜めて、同情心で一杯になって気落ちしているのを見て、マドゥスーダナ(クリシュナ)が次のように言いました。」

2
 主が言いました。「私の愛しいアルジュナよ。一体どのようにしてこのような不純な心が貴方に芽生えたのでしょう。これらは、人生の価値を知っている人には、全く相応しくありません。これらは、人を波動の高い世界へは導かずに、逆に不名誉へと導きます。」

3
 「おお、プリターの息子(アルジュナ)よ。気を落としてはいけません。それは、貴方には相応しくありません。おお、敵を懲らしめる者(アルジュナ)よ。そのような弱気は捨てて、立ち上がりなさい。」

4
 アルジュナがこう言いました。「おお、敵を殺すもの(クリシュナ)よ!おお、マドゥーを殺すもの(クリシュナ)よ!どうやって戦いの中で、ビーシュマ(祖父)やドゥローナ(恩師)のような私が尊敬する男達を、矢で反撃することが出来ましょうか。」

5
 「自分の偉大な恩師達を殺すくらいなら、この世では乞食をして暮らした方がましです。それにしても、もし仮に私がこれらの恩師を殺したとしても、私がこの世で楽しめるすべての喜びは、血に染まったものにしかなりません。」

6
 「いったい、どちらの道を選んだらいいのか分かりません。彼等を征服すべきか、あるいは彼等に征服されるべきか。もし我々がドゥリタラーシュトゥラの息子達を殺せば、私達は生きる心地がしないでしょう。なのに、その彼等が今、戦場で我々の前に立ちはだかっています。」

7
 「私の心は失望の色で汚れてしまい、徳というものが分からなくなってしまいました。ですから私は、あなた様にお願い申し上げます。最善の策を教えて下さい。私はあなた様の生徒です。あなた様に完全に魂を捧げた者に指示を授けて下さい。」

8 「もしこの世に、比較できないほど豊かな領土を手に入れることが出来たとしても、あるいは、神々の王になったとしても、私の感覚を焼き尽くすこの悲しみを取り除くことはとうてい出来ないでしょう。」

9
 サンジャヤが言いました。「このように話した後、敵を懲らしめる者アルジュナはクリシュナに言いました。「ゴーヴィンダ(クリシュナ)、私は戦いません。」そして、彼は黙ってしまいました。」

10
 「おお、バーラタ(インド)の子孫よ!」とその時、両軍の最中で微笑みながらクリシュナは悲しみに打ちひしがれていたアルジュナに向かって言いました。

11 主は言いました。「あなたは悲しみに値しない者達のために悲しみ、知恵を働かせています。本当の賢者は、生きているものと死んだものの両方に対して悲しむことはしないのです。」

12 「これまで私が存在しなかったことはないのです。そして、あなたもです。そして、これらの支配者達もです。そして、今後、私達の誰かが存在しなくなることもないのです。」

13 「ちょうどこの体の中で閉じ込められたもの(魂)が、幼年期から青年期、そして壮年期へと移っていくように、それ(魂)は、他の体へと移っていくのです。このようなことで、賢い者は惑わされてはなりません。」

14 「おお、クンティーの息子(アルジュナ)よ!感知力によって、冬と夏、幸せと苦しみが現れたり消えたりするように見えますが、これらは、永遠ではありません。おお、バーラタ(インド)の子孫(アルジュナ)よ! これらすべてを我慢しなさい。」

15 「おお、最高の人(アルジュナ)よ! 幸せと不幸に惑わされず、その両方の中で平静を保てる者は、本当に解脱に値する人です。」

16
 「実体がないもの(肉体などの幻)は、長く続きませんし(または存在しませんし)、実体があるもの(魂)は変化しないというふうに、真実が見える者達(覚者達)は、両者を勉強した結果、このような結論を出しています。」

17 「私達の体の隅々にまで浸透する魂が、破壊されることがないことを理解して下さい。誰もこの不滅の魂を破壊することはできないのです。」

18 「確かに、不滅ではかり知れなくて、永遠に生き続ける魂の家である肉体には終わりがあります。ですから、おお、バーラタ(インド)の子孫(アルジュナ)よ! 戦うのです。」

19 「魂自身が殺すとか殺されると考えている人は、正しく認識していません。なぜなら、魂は殺すことも、殺されることもないのです。」

20 「なぜなら、魂にとって、常に誕生も死もないのです。魂は過去に産まれたことも、今産まれることも、また、未来に産まれることもないのです。魂は、産まれたのではなく、永遠で、原初から存在します。魂は、肉体が殺されても、それ自身殺されることはないのです。」

21 「おお、パールタ(アルジュナ)よ! 魂が不滅で永遠で産まれることがなくて不変であることを知っている者が、いったいどうやって人を殺したり、人に殺させたりすることが出来ますか?」

22 「ちょうど人が古い服を脱ぎ捨てて、新しい服を身に付けるように、魂も古かったり役に立たなくなった肉体を脱ぎ捨てて、あたらしい肉体を受け取るのです。」
    
23 「魂がどのような武器によっても切り刻まれることはないですし、火によって焼かれることもありませんし、水によって湿らされたり、風によってしなびたりするようなことはないのです。」
    
24 「この各々の魂は、壊れませんし、燃えませんし、水に溶けることもありませんし、そして、干上がることもありません。それは、永久普遍で、変わることはなく、動くこともなく、永遠に同じです。」

25 「魂は、見えない、考えられない、変えられないと言われています。この事実を肝に留め、肉体(の損失)を悲しまないように。」
    
26 「おお、偉大な腕を持つ者よ、 しかしながら、もしあなたが、魂は生まれては死ぬことを永遠に繰り返すと信じていたとしても、そこに悲しむ理由は何もありません。」

27 「一旦生まれたものは必ず死にますし、死んだものはまた必ず生まれてきます。ですから、これは避けられないことであり、あなたが悲しむ必要はないのです。」
    
28 「全ての創造物は、最初は見えませんが途中で見えるようになり、そして、死ぬとまた見えなくなります。ですから悲しむ必要はないのです。」
    
29 「ある人たちは、魂を不思議なものと見、ある人たちは、魂を不思議なものと表現し、ある人たちは魂は不思議なものと聞き、また、ある人たちは、魂についていろいろ聞いた後でも、魂を全く理解することが出来ません。」
    
30 「おお、バーラタの子孫(アルジュナ)よ、体の中に宿るものは、決して殺されることはないのです。したがって、あなたが生き物に対して悲しむ必要は全くないのです。」

31 「一人のクシャトリヤ(軍人の階級)としての特別な義務を考えれば、宗教的な主義を守るために戦うことほど、あなたがやるべきことはないことが、おのずと分かってくるはずです。」
    
32 「おお、パールタ(アルジュナ)よ!探してもいないのにこのような戦いの機会がやってくるクシャトリヤ達は、果報者達です。彼らのために天界の惑星への扉が開かれるのです。」
    
33 「しかしながら、もし、あなたが戦いという自分の宗教的な義務を怠れば、あなたは罪を犯すことになりますし、戦士としての名誉も失うことになります。」

34 「あなたの不名誉は人々によって永遠に語り継がれ、それは、尊敬に値する人にとっては、死より辛いものです。」
    
35 「これまであなたを高く評価していた偉大な将軍達は、あなたは恐れのあまり戦場から逃げ出したと思い、あなたへの価値を下げることでしょう。」
    
36 「あなたの敵は、悪意に満ちた言葉であなたの能力を非難するでしょう。それ以上苦痛なことがあるでしょうか?」
    
37 「おお、クンティーの息子(アルジュナ)よ!もし、戦いに敗れてもあなたは天国に行きます。また、もし勝ったなら地上で王国を楽しむことが出来ます。さあ、立ち上がって決意を固めて戦いなさい。」
    
38 「戦いのために戦いなさい。楽しみや苦しみ、得るものや失うもの、勝利や敗戦などを考えずに戦えば、罪(カルマの掟)を犯すことになりません。」

39 「これまであなたに教えて来たのは、サンキャ(分析を基にした学問)に関する知恵です。それでは、ヨガ(カルマの掟を破らない方法)に関する知恵を聞きなさい。おお、プルターの息子(アルジュナ)よ。この知識に従って行動をとるならば、あなたはカルマの掟から解放されるのです。」
    
40 「この努力をもって活動すれば、失うものも少なくなることもなく、少し前進するだけで、最も危険な恐怖から守られます。」

41 「この道を歩く者は、目的を達成しようとする意思が固く、目的は一つです。おお、クルスの息子(アルジュナ)よ!意思が固まっていない人間の知能は沢山に枝分かれています。」

42 -43 「小さな知識しか持ち合わせていない人達は、天国へ行くためにいろいろカルマのメリットを稼ぎ、また来生でよい生まれや権力などに恵まれるための行動を奨励するヴェーダの華麗な言葉に強く固執してします。感覚肉体的な満足と贅沢な暮らしだけを求めるため、かれらは、これ以上のものはないと言います。」

44
 「感覚的な喜びと物質的な贅沢に執着しすぎている人、またはそのようなものに心を乱されている人の心の中には、神へ献身的な奉仕をしようとする固い決意は生まれて来ません。」

45 「ウ゛ェーダでは、主に3つのグナ(自然の性質)について言及しています。おー、アルジュナよ。これらの三つのグナを超えなさい。二元性から解放されなさい。獲保しようとするこころと防衛しようとするこころから解放されなさい、そして、つねにサットウ゛ァ(永遠の真実)の中に霊的な自分を置きさい。」

46 「ウ゛ェーダの有益さは、ブラフマナまたは覚者にとっては、まるで、井戸の水の有益さが大きな貯水池で簡単に確保できるように、容易く体験できます。」

47 「行動だけに集中して,結果は気にしないことです。行動の結果が動機になってはいけませんが、だからといって行動しないことが癖になってもいけません。」

48 「自分の義務を誠実に果たしなさい。そして、おお、ダナンジャヤ(アルジュナ)よ。全ての執着心を捨てて、成功しても失敗しても平常心を保ちなさい。このような平常心をヨガと呼びます。」

49 「おお、ダナンジャヤ(アルジュナ)よ。悪行は、熱心な奉仕または永遠の知恵に対する信心に比べると大変劣ります。至高の意識の中で、神に全てを降伏するまたは捧げるのです。自分の行動(カルマ)の結果を楽しもうとする人は、悲しい人です。」

50 「真実を知っている人は、この世に生きている間に、よい行動と悪い行動(をしているという意識)を放棄してしまいます。そして、信心業にだけ熱中します。全ての仕事なかでヨガは芸術です。ヨガに励みなさい。」

51 「行動の結果(カルマの恩恵)を放棄した覚者は、至高の知恵を手に入れ、輪廻から解放されて悪のない世界へ行きます。」 

52 「あなたの意識が幻の森を通り超えると、これまで聞いた全てに対して、また、これから聞く全てに対して、動揺しなくなります。」

53 「あなたの意識がウ゛ェーダの花のような装飾的な言葉に振り回されなくなり、悟りのトランス状態が続く時が、あなたが神聖な意識を自分のものにした時です。」

54  アルジュナ曰く。「おお、クリシュナよ!いったん悟った者(覚者)はどのように振る舞いますか。彼はどのように話しますか。そして、何語で話されますか。また、彼はどのように座りますか。そして、どのように歩きますか。」

55
 するとシュリ・バガヴァン(クリシュナ)は、こうおっしゃいました。「おお、パールタ(アルジュナ)よ!人が、頭の混乱から生まれて、感覚を満たすための全ての種類の欲望を放棄して、こころが純粋になった時、彼は,真我(魂/霊)にのみ満足を発見し、超常の境地(トランス/悟りの境地)に達したと言われます。」

56
 「三種類の苦難の真っただ中にあっても、または、幸せの最中にあっても、心が乱れない人、そして、執着心、恐れ、怒りから解放されている人は、静寂心を持った聖人と呼ばれます。」

57 「物質界において、良いものまたは悪いものを手に入れても、褒めることも誹ることもしない人は、完璧な知識の中に定着していると言えます。」

58 「感覚の対象物から、自分の感覚を撤退させる(感覚的に反応しない)ことが出来る人は、完璧な意識の中に定着していると言えます。」

59 「節制を守る人(禁欲主義者)は、感覚の対象物の感覚的な喜びは味わえませんが、それを感覚的に体験することはできます。しかし、より高い意識の状態を体験すると、そのような感覚的な体験すらしなくなります。」

60 「おお、アルジュナよ、感覚というものは、非常に強くて、じっとしていられませんので、分別の持ち主が一生懸命感覚をコントロールしようとしても、彼のこころを力ずくで奪い去ります。」

61 「自分の感覚を節制し、それを完全な支配下に治め、自分の意識を私に定着させる者は、安定した知恵の持ち主として世に知られます。」

62 「感覚の対象物を見つめていると、人はそれに愛着心を持ってしまい、その愛着心から欲望が生まれ、その欲望から怒りが生まれます。」

63 「怒りから完全な錯覚(幻)が生まれ、完全な錯覚から記憶の混乱が生じます。記憶が混乱すると知恵が失われ、そして、知恵が失われると破滅してしまいます。」

 
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